COACHの品質について

COACH製品は、手触り、強度、性質、表面の模様など、すべてがCOACHの品質基準に合う、最高級のレザーだけを厳選している。市場に出回るなかでも上位にランクされる上質な素材のみが使われ、アメリカ、ヨーロッパや東アジアから仕入れ、長年にわたりよい関係にある世界中のなめし革工場でなめされている。ハードウェアや生地などそのほかの素材に関しても、ヨーロッパやアジアからバランスよく調達している。また、製品の細部はダブルタッチで補強され、ターンロックなどのハードウェアは伝統的な手仕上げが行われるなど、製品に関しても細心の注意が払われている。本社に併設された品質管理ラボでは、素材や製品のサンプルテストが毎日繰り返し行われている。たとえば、シグネチャーの製品に使われている”C”の文字が織り込まれたジャカード織りの生地は、上下左右に引き伸ばして、その強度を検査する。色落ちしないか、汚れにくいか、バッグが体に触れたときの摩擦で起毛しないかなど、顧客の視点に立ったさまざまなチェックが行われる他、数百ポンドもある先の尖ったおもりを生地にぶつけてキズの状態を調べるなど、日常の使用で想定されるあらゆる検査を行う。製品の多くがコンテナ船で運ばれるため、革や布などの素材が熱や湿度に耐えられるか、耐候性も厳格にチェックされる。完成した商品のサンプル検査もここで行う。バッグのボディやもち手に負荷をかけて引っ張ったり何トンものおもりを落下させて耐久性を調べたり、過酷な状況でのテストが何度も実施される。ここまで徹底した検査はハンドバッグブランドでは珍しく、家具メーカーがソファーに対して行うものと同じレベルだという。重厚かつクラシックなスタイルから、華やかでファッショナブルなブランドに変貌をとげた今でも、品質への厳しい追及の姿勢はかわらないのでる。コーチは毎月新製品を発表するが、製品の企画から店頭に並ぶまでおよそ12ヶ月。他の高級ブランドでは考えられない。このサイクルが実現できるのは、デザイナー、製作現場、資材を調達するもの、マーケティング担当など関係各部署が協力する、包括的システムが整っているからだ。COACHのyニューヨーク本社ビルにはMRDC(Manufacturing Research Development Center)という工房が併設されている。ここはデザイナーが描いたスケッチを具体的な形にし、試作品を作る場所だ。デザイナーの要望に対応できるよう、多彩な革や布地、ハードウェア、糸などハンドバッグを構成するあらゆる素材がスックされている。完成したスケッチ(原画)はデザイン・カードと呼ばれる図面になり、コンピュータに組み込まれて、デザイナーに戻される。チェック後、型紙に起こされ、それに沿って革や布地を自動的に裁断する。カットされたピースは同じフロアの職人たちへ。職人たちが作った製品のサンプルができあがると、すぐざまデザイナーチームが確認する。デザインする側と製作現場が近いため、フィードバッグが迅速に行われ、改善策もすぐに見つけることが出来る。試作品のOKがでると、コンピュータに取り込まれた型紙は世界中の工場に送られる。こうして12ヶ月という短い期間で、政策発表が可能になる。試作品はイタリア・フィレンツェのオフィスでもニューヨークと連携して製作されている。